相続税の申告期限は10か月|申告が必要かの判定と実家がある場合の注意点
この記事のポイント
- 遺産の合計が3,000万円+600万円×法定相続人の数(基礎控除)を超えると申告が必要
- 申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内
- 実家の土地は小規模宅地等の特例で評価を最大80%下げられることがある。ただし原則として期限内の申告が必要
親が亡くなったあと、「うちは相続税がかかるの?」と気になる人は多いはずです。相続税は、遺産が一定の額を超えた場合にだけかかる税金です。まずは申告が必要かどうかを確認し、必要なら10か月の期限から逆算して準備しましょう。
申告が必要かは「基礎控除」で判定する
遺産の合計(借金や葬式費用を差し引いたあとの額)が、次の基礎控除を超えると、相続税の申告が必要です。
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 法定相続人の数 | 基礎控除 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
たとえば、父が亡くなり、母と子2人が相続人なら基礎控除は4,800万円です。実家の土地・建物、預貯金、生命保険金(非課税枠を超える部分)などを合計して、これを超えるかどうかを確認します。
都市部に実家がある場合は、土地の評価額だけで基礎控除に近づくこともあります。「うちは財産が少ないから」と思い込まず、一度計算してみましょう。
申告期限は10か月。スケジュールの目安
相続税の申告と納税は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行います。長く感じますが、やることは多くあります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 〜3か月 | 遺言書の確認、相続人の確定(戸籍の収集)、財産と借金の調査。相続放棄するならこの期限内 |
| 〜4か月 | 亡くなった人の所得税の申告(準確定申告) |
| 〜8か月 | 財産の評価、遺産分割の話し合い、遺産分割協議書の作成 |
| 〜10か月 | 相続税の申告書の作成・提出、納税 |
特に遺産の分け方の話し合いは時間がかかりがちです。税理士に頼む場合も、資料集めの時間が必要なので、半年前までには相談しておくと安心です。
実家の土地は「小規模宅地等の特例」を確認
亡くなった人が住んでいた家の土地は、一定の条件を満たす人が相続すると、330㎡までの部分の評価額を80%下げられる特例があります(小規模宅地等の特例)。
使えるかどうかは、だれが相続するかで変わります。
- 配偶者が相続する場合:条件なしで使える
- 同居していた親族が相続する場合:申告期限まで住み続け、持ち続けることなどが条件
- 別居の子が相続する場合:持ち家がないなど、条件が厳しい(いわゆる「家なき子」の特例)
この特例は、原則として期限内に申告することが条件です。特例を使って税額がゼロになる場合でも、申告書は出さなければなりません。
特例の条件は細かく、家族の住まいの状況によって判断が変わります。実家を相続する人を決める前に、税理士に確認しておきましょう。
期限に遅れるとどうなる?
期限内に申告・納税しないと、本来の税金に加えて無申告加算税や延滞税がかかることがあります。また、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減も、期限内に申告しないと使えなくなることがあります。
相続税は「相続に強い税理士」に頼む
税理士にも得意分野があり、相続税の申告を多く扱っている税理士とそうでない税理士がいます。選ぶときは次の点を確認しましょう。
- 相続税の申告の実績があるか
- 報酬の見積もりを事前に出してくれるか(遺産の額や相続人の数で決まることが多い)
- 実家を売る場合、売却の税金(譲渡所得)の相談にも乗ってくれるか
だれに相談すればいいか分からない場合は、相続の窓口に相談して、地域の専門家を紹介してもらう方法もあります。
実家を売るなら、売却の税金も一緒に考える
相続した実家を売ると、相続税とは別に売却の利益に所得税・住民税がかかります。条件を満たせば「空き家の3,000万円特別控除」や、払った相続税の一部を経費にできる「取得費加算の特例」が使えます。
どちらが有利かは状況によって変わるため、相続税の申告を頼む税理士に、売却の予定も伝えておくとスムーズです。名義変更(相続登記)の期限もあわせて確認しておきましょう。
よくある質問
- 基礎控除以下なら、何もしなくていいですか?
- 遺産の合計が基礎控除以下なら、相続税の申告は不要です。ただし、小規模宅地等の特例などを使ってはじめて基礎控除以下になる場合は、申告が必要です。
- 10か月以内に遺産の分け方が決まらないときは?
- いったん法定相続分で分けたものとして期限内に申告・納税し、分け方が決まってから修正します。この場合、小規模宅地等の特例などは原則として使えないため、申告書と一緒に「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておくことが大切です。
- 実家の価値はどうやって計算しますか?
- 土地は路線価(路線価がない地域は固定資産税評価額に倍率をかけた額)、建物は固定資産税評価額をもとに評価するのが一般的です。売れる価格(時価)とは違うので注意しましょう。
出典・参考
この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の状況に対する法律・税務上の判断ではありません。実際の手続きは、司法書士・税理士・弁護士などの専門家や、各窓口にご確認ください。
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